Windows 10を搭載しているLenovoのパソコンを初期化して、工場出荷状態に戻す方法です。
LenovoのPCの初期化方法について
以下で紹介している初期化方法ではリカバリーモードを利用するため、OSが起動しない状態になってWindows標準の機能では初期化することができなくなってしまっても、初期化することが可能です。Lenovo純正の「Lenovo USB Recovery Creatorツール」を使ってリカバリーメディアを自分で作成することになります。
この記事で紹介している手順を実行すると、パソコンのユーザーデータやインストールしたソフトウェア、ドライバーなどがすべて削除されます。また、適用済みのWindows Updateも削除され、ソフトウェアが工場出荷時と完全に同じ状態となります。
初期化作業に必要なもの
Lenovoのパソコンを初期化する際に必要なものです。リカバリーメディアを作成するため、USBメモリが必要となります。
- 初期化したいLenovoのパソコン
- 容量が16GB以上のUSBメモリ(リカバリーメディアの容量が8GBを超えるため)
- 正常に動作するパソコン(初期化したいLenovoのパソコンが起動しない場合)
リカバリーメディアを作成する際に、USBメモリのデータがすべて削除(フォーマット)されます。必要なデータがある場合はバックアップが必要となります。
初期化の所要時間について
筆者の環境では、リカバリーメディアの申込みを始めてから初期化が完了するまでに合計で3時間ほどかかりました。
- リカバリー作成の準備(申し込み):5分
- リカバリーメディアの作成:2時間
- 初期化(リカバリーの実行):1時間
リカバリーメディアの作成や初期化にかかる時間は、パソコンのスペックやインターネットの速度などによって異なります。最低でも数時間かかる作業のため、時間に余裕のあるときに初期化・リカバリー作業を行うのがおすすめです。
初期化(リカバリー)の手順
Lenovoのパソコンを初期化(リカバリー)して、工場出荷時の状態に戻す方法です。
主な手順は、以下のようになっています。
- リカバリーメディアを作成するための準備をする(申し込み)
- USBメモリでのリカバリーメディアを作成する
- 作成したリカバリーメディアで、初期化(リカバリー)を実行する
この記事では、Lenovoのノートパソコン「ideapad 330S」を使用しています。
Lenovoのサイトでリカバリーメディアを申し込む
この手順では、Lenovoのリカバリーメディアを作成する際に必要となる申し込みを行います。リカバリーメディアの申し込みはインターネット上ですぐに行うことができます。
申し込みが必要となるのは、パソコンの購入者のみがリカバリーメディアを作成できるようにしたり、機種を判別したりするためであると思われます。
Lenovoのリカバリーメディア申し込みページにアクセスします。
つぎに、右上に表示されている「ログイン」ボタンにマウスカーソルを合わせ、「ログイン」と書かれている部分をクリックしてLenovo IDでログインします。
Lenovo IDに登録していない場合は、新規登録を行います。「ログイン」の右側に表示されている「登録する」をクリックすると、Lenovo IDのサインアップページにアクセスすることができます。
「リカバリーメディアを申し込む」と書かれている部分までスクロールし、「シリアル番号をご入力ください」の下にあるテキストボックスにシリアル番号を入力します。入力が完了したら、テキストボックスの右側にある青いボタンをクリックして次に進みます。
パソコンのシリアル番号を調べる方法については、こちらの記事「Windows10でシリアル番号(シリアルナンバー)を確認する方法」にて紹介しています。
プルダウンメニューから「国/地域」と「OSの言語」を選択します。選択が完了したら、「提供条件」をクリックして確認し、同意できるようであれば「同意します」チェックボックスにチェックを入れます。すべて完了したら、「次へ」ボタンをクリックして次に進みます。
「マシンタイプモデル」や「オペレーティングシステム」には、シリアル番号から自動検出された値が入力されています。
引取り先お客様情報(氏名、メールアドレス)を入力し、「送信」ボタンをクリックします。
Lenovoのリカバリーメディアの申し込みが完了しました。これで、リカバリーメディアを作成することができるようになりました。
リカバリーメディアの申し込みが完了してから72時間以内に、次の手順で紹介しているリカバリーメディアの作成(ファイルのダウンロードまで)を行わなかった場合は申し込みが無効になるため、再度申し込みを行う必要があります。
リカバリーメディアを作成する
リカバリーメディアの申し込みが完了したら、次はリカバリーメディアの作成を行います。リカバリーメディアの作成に必要となる、「Lenovo USB Recovery Creatorツール」をダウンロードします。
Lenovoのリカバリーメディア申し込みページにアクセスします。「Lenovo USB Recovery Creatorツールはアップデートしました。」と書かれているところの下にあるリンクをクリックして、ファイルをダウンロードします。
Windows 7向け、Windows 8.1以降向けの2種類があるので、OSの種類に応じて選択します。ファイルの容量はそれぞれ7.95MB、7.99MBでした。
ファイルのダウンロードが完了したら、Lenovo USB Recovery Creatorツールを実行します。
インストールは行われないため、すぐに利用することができます。
ダウンロードしたファイル(USBRecoveryCreator.exe)をダブルクリックします。
ユーザーアカウント制御が表示された場合は、「はい」ボタンをクリックします。
Lenovo USB Recovery Creatorツールが起動したら、リカバリーファイルダウンロードの有無の選択を行います。今回は新規でリカバリーメディアを作成するため、上の「リカバリー・ファイルをダウンロードしてリカバリーUSBキーを作成」アイコンをクリックします。
ログイン画面が表示されるのでLenovo IDとパスワードを入力し、「サインイン」ボタンをクリックします。Lenovo IDは、リカバリーメディアの申し込みを行ったときと同じものを使用します。
先ほどの手順で行ったリカバリーメディアの注文を選択し、「次」ボタンをクリックします。
リカバリーファイルがダウンロードされる場所を選択します。選択が完了したら、「ダウンロード」ボタンをクリックします。
「参照」ボタンをクリックすると、好きな場所を選択することができるようになっています。
リカバリーファイルのダウンロードが開始されました。ここでは、ダウンロードの進行状況と残り時間、速度を確認することができるようになっています。
リカバリーファイルの容量は非常に大きいため、ダウンロードには時間がかかります。
ダウンロードの開始直後は速度が遅いため残り時間が長くなっていましたが、しばらく経つと速度が速くなり、残り時間が大幅に短くなりました。
リカバリーファイルのダウンロードが完了したら、「次」ボタンをクリックします。
私の環境では、ダウンロードは50分ほどで完了しました。
リカバリーメディアの作成に利用するUSBメモリをパソコンに接続します。「USBの場所の選択」プルダウンメニューからUSBメモリを選択し、「次」ボタンをクリックします。
USBメモリを選択すると、「USBキーが認証されました」と表示されます。「はい」ボタンをクリックして、リカバリーメディアの作成に必要となるパーティションの作成を行います。
パーティションを作成した時点で、選択したUSBメモリのデータがすべて削除されるので注意が必要です。
リカバリーメディアの作成が開始されます。
リカバリーメディアは自動的に作成されるため、作成が完了するまでパソコンを操作する必要はありません。
リカバリーメディアの作成中にUSBメモリを取り外したり、パソコンの電源を切ったりすると作成に失敗する可能性があるので注意が必要です。
USBメモリがフォーマットされ、すべてのデータが削除されます。
リカバリーファイルのコピーが行われます。
リカバリーメディアの作成が完了し、「USBリカバリー・キーが正常に作成されました。」と表示されました。パソコンにダウンロードされたリカバリーファイルを保持したい場合は「いいえ、終了します」ボタンを、リカバリーファイルを削除したい場合は「はい」ボタンをクリックします。
どちらのボタンをクリックしても、Lenovo USB Recovery Creatorツールが閉じられます。
ダウンロードされたリカバリーファイルを保持すると、次回以降にダウンロードを行わずにリカバリーメディアを作成することができるので、作成にかかる時間が短縮されます。
初期化を実行する
USBメモリに作成したリカバリーメディアを利用して、初期化(リカバリー)を実行していきます。
リカバリーの途中で、パソコンが複数回再起動されます。
ノートパソコンでリカバリーを実行する場合は、リカバリー中に電源が切れることを防ぐため、充電している状態(電源に接続している状態)にします。
パソコンをシャットダウンさせ、USBメモリのリカバリーメディアを接続します。電源ボタンを押してパソコンを起動し、「F12キー」を押します。ブートメニューが表示されたら、矢印キーでUSBメモリを選択して、エンターキーを押します。
「USB Device」とUSBメモリの機種名が書かれています。
Lenovoのロゴが表示され、少し待つとリカバリーモード(Product Recovery プログラム)が起動します。
Lenovoのリカバリーモード「Product Recovery プログラム」はウィザード形式になっているので、簡単に操作することができます。
リカバリーモードが起動したら、「Select the Language」プルダウンメニューから言語を、「Select the region or country」プルダウンメニューから国を選択します。
日本語にする場合は、「JP [日本語]」を選択します。(この記事の説明では、言語を日本語に切り替えています。)
言語を選択すると、すぐに変更が反映されます。言語と国の選択が完了したら、「次へ」ボタンをクリックします。
リカバリーモードの使用条件(利用規約)が表示されるので、確認します。同意できる場合は、「はい、同意します。」を選択して「次へ」ボタンをクリックします。
使用条件には、プログラムの目的外使用が禁止されていることや、ストレージが工場出荷状態に戻されることなどが書かれていました。規約に同意しない場合は、リカバリーツールを使うことができません。
リカバリーを実行するとすべてのユーザーデータが削除されるとの注意事項が表示されるので、削除されると困るデータなどがないか確認し、「Yes」ボタンをクリックします。
「Yes」ボタンをクリックすると、すぐにリカバリーが開始されます。
「Product Recoveryはシステムを復元しています。お待ちください。」と表示され、リカバリーが開始されました。
しばらく経つと、「リムーバブルディスクを取り外してください。そうでないと、データの損失や復元不能なシステム障害が発生することがあります。」と表示されます。リカバリーメディアのUSBメモリをパソコンから取り外し、「OK」ボタンをクリックします。
この手順以降は、リカバリーが完了するまでパソコンを操作する必要はありません。
リカバリーの残りの処理が行われます。その際にパソコンが複数回再起動されたり、さまざまなコマンドウインドウが開いたりしますが、正常な状態です。
途中で「Administrator」という名前のユーザーでログインされ、デスクトップが表示されますが、リカバリー処理の途中なので操作しないようにする必要があります。
初期化の処理が完了
リカバリーが完了すると、Windowsの初期設定画面が表示されます。Lenovoのパソコンを初期化する手順は以上で完了となります。Windowsの初期設定を行えば、通常通りパソコンを使えるようになります。
Windows10の初期設定の方法については、「Windows 10の初期設定(初期セットアップ)の手順」にて紹介しています。